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ロサンゼルスからの日々


by nikkeilife
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最近の感動

時折バスで通勤する、と以前書きましたが、楽しみの一つは本を読む時間が出来ること。数日前、遅ればせながら、「食堂かたつむり」を読み終えました。
最近の感動_e0147801_3253332.jpg




読む前は、ハッキリ言って余り気が乗りませんでした。文庫を読む際は専らミステリー専門の私。それも、主に西村京太郎、赤川次郎、山村美沙、と和久俊三と偏ったセレクションばかり。なんていうか、女性向けのフィクションって、ちょっと鬱陶しい感じがして、なかなか近づきよりがたいジャンルでした。これを見たのが古本屋で、たった$5でなければ読まなかったかもしれません。

あらすじは大方知られていると思うので、ここでは省きます。読みながら、読み終えて、思ったことをちょっと自分用に書き残しておきます。

読み始めは、やはりちょっと難しい。何と言っていいのか、主人公に感情移入ができないというか、語り方がちょっとドライに感じました。それでも、読み続けていると、段々と倫子ちゃんに親しみがわいて来ました。

一番問題だったのが、読めない漢字が所々。ミステリー小説は、結構普段の会話に使われている言葉ばかりなので、辞書を引かなければいけないことはないのですが、この本はちょっと考えなければ読み方や意味が分からない言葉が結構ある。文学に乏しいゆえですね。(恥)

でも、そのせいか、私の日常生活ではまず聞くことのない素敵な言葉や表現が、とても新鮮に感じて、心にグッときたのもシバシバ。特に、レストランの周りの風景や、料理の素材などを描いているところは、本当に雪の冷たさを感じたり、野菜の瑞々しさを味わえるような気がします。

ストーリーも終わりに近づくと、文字通り没頭してしまい、降りるバス停を見過ごしてしまいました。(汗)

読みながら思ったのは、なんと心地良いんだろう、と。話が章に別けられていないこともありますが、語り方が本当に優しく、ずっと倫子ちゃんの世界に浸っていたいような気がしました。

これまで、女性向けのフィクションに惹かれなかったのは、多分主人公が弱々しく感じるか、強がりすぎるかで、何か人事みたいだったような気がします。でも倫子ちゃんは、弱い面もありますが、自分でそれをみとめて、葛藤しながら色々乗り越えていく、でも時折、落ち込んでしまう、そういう姿に胸を打たれました。あと、現実っぽくありながら、ペットの豚や、拒食症のウサギなどが登場してくるのもなんとも微笑ましいもので、読んでいる途中で本を置くのが難しかったです。

著者の小川さん、私と同い年なんですね。それでこんな素敵なストーリーと味のある登場人物、そして美しい言葉遣いなどを創作できるなんて、もう、頭が上がりません。これをきっかけにもっと文学系の物も読んだほうがいいんだろうな~。ちなみに、今は和久俊三のミステリーを読んでいます。だって、母が沢山貸してくれたので。(笑)
by nikkeilife | 2011-11-14 16:48 | 読書